平成22年1月7日に、学内の各部局へ、来年度の運営費交付金の対象事業の予定額の予算内示があった。
まあ、それによると、特別教育研究経費は、大学によってかなり異なるだろうから、ここではあまり触れないこととして、それ以外の部分のところで見ていきたいと思う。

まず、真っ先に目に入るのが、「臨時的減額」の文字。はぁ? なんですか、これ。しかもご丁寧に算出根拠が「算定基準の1%減」と書いてある。

実は、過去6年間、効率化係数が毎年1%づつかかっていて、年々、運営費交付金が減らされ続けてきたわけだが、もう限界というわけで、来年度からは、効率化係数1%の減については、行わないと言われていた。確かに「効率化係数による減」とは書いていない。じゃあこの「臨時的減額」とは何なのか?

結局のところ、この「臨時的減額」は今まで行ってきた「効率化係数による減」と全く同じ意味合いのものだそうです。単に名称を変えただけで、「臨時的」という言葉にも惑わされない方がいいそうです。
なぜなら、ガソリンなどの「暫定税率」という制度も「暫定」と言いながら長い間続いているし、まあ近々廃止されるにしても、「環境税(仮称)」と名を変えた新しい税制が取り入れられる予定であるから、結局はこれと同じことで言い方を変えただけになりそうだ。

まあ、そうはいっても、教育に予算をかけようということで、1つだけ良かったのが、授業料免除枠の拡大で雀の涙ほどですがちびっと予算増額されました。
それは今まで、授業料収入予定額の5.8%枠だったのが、学部生6.3%、大学院生(修士)6.2%になったことです。まあわずか0.4~0.5%の拡大とはいえ、大規模な大学、たとえば学生数10000人とすれば、単純計算としても40~50人は新たに全額免除できるということになります。
ただ、大学院修士学生には厳しいのと、博士後期課程は蚊帳の外なのは納得いかないところですが。

それと、今回新しく目を引くのが、「評価反映分」という項目。なんじゃこりゃ? と思ったら、これこそ大学ごとに評価をポイント化して、大学毎に傾斜配分したという今回の配分の目玉らしい。しかし、これがものすごく少額なのだ。我が大学を例に取ると、なんと全運営費交付金内示額の0.07%にしか過ぎない。それでも、うちの大学は全国の中でも評価のいい方らしいというのだからびっくりです。
大学毎に評価するとはいえそれは建前で、国立大学という公共的な使命を考えると、結局は横並びにせざるを得ないし、小規模大学にも配慮して一応の「評価実績」もちゃんとやってますよ、というスタンスを保たなくてはいけないという、実態はほんの「オマケ」程度のものだったのだ。

ただし、文部科学省予算は、2%近くマイナス(高校授業料無償化分を除く)になっているし、高等教育局の予算も同じく2%近くマイナスになっていることから、国立大学運営費交付金の1%マイナスというのは、事業仕分けという不意打ちを食らったとはいえ、国の予算関係全体からみれば、それでもまだ、コンクリートから人への予算配分の変更という観点からすれば、多少はその方向に向いたのだろう。

なお、組織改革を行った5大学には、重点配分が行われたという情報があり、今後は他の大学でも組織内改革が活発になるだろうということは想像に難くない。変な方向にすすんで、組織がぐちゃぐちゃにならなければいいが。

加えて、政府が教育重視を掲げているとおり、平成23年度からは、教育を重視したグローバルCOEのような事業(グリーン、ライフがキーワード)が始まる予定である。この「グリーン」は、CO2削減25%の実現のことだろうし、「ライフ」は高齢化社会に対応する福祉や医療関係が含まれるだろうと想像できる。

これから国立大学事務職員を目指す皆さんは、この「グリーン」「ライフ」の分野に秀でた大学を狙うと予算獲得面では有利になるかもしれません。仕事は増えますが・・・。