行政刷新会議の事業仕分けの時の議員の発言で、スパコンが「世界一目指す理由は何か? 2位ではだめなのか」やロケット開発や衛星打ち上げ予算の削減などが波紋を呼んだように、膨大な費用の割には、成果が見えにくい科学技術予算が、ばっさばっさと切られてしまった。(その後、再見直しの動きはあるが)

では、議員が言っていた「それが、何の役に立つのか?」と聞かれて、難し科学用語を並べて説明したって、相手が理解出来なきゃ結局は予算を切られる運命にある。
そこで、ここでは、そんな議員さんでも理解できるような私達の暮らしに何気なく役立っている科学技術のほんの1例を紹介します。これ以外にも
いろいろと役だっています。(物語自体はフィクションです)


朝、目覚めると、雲行きが怪しい。
先日、買ったばかりの大型薄型液晶テレビのスイッチオン。
(液晶パネルの大型化は科学技術の賜です)
天気予報を見てみよう。
(ロケットや気象衛星がなければ、予報できません)
おや、台風の進路予想では、明日の朝、関東首都圏を直撃でないか
(スパコンが進路予想をします。災害被害による経済的損失を抑えます)
今日は、ちょっと早めに家を出よう。携帯で電車の時間を検索と
(携帯電話も通信網も科学技術の粋です)
お、今日も電車はぴったり来たぞ
(電車運行システムも科学技術の粋です)
会社に到着、まずPCを立ち上げて、メールチェックと
(業務にPCと情報関連網は不可欠です)
腹減った~、昼飯だ~。
(POSシステムにより、在庫・売り上げ予測などにより食材を効率よく管理)
営業の合間に言った喫茶店で、事業仕分けのニュースが。あの化粧した女の人、科学技術の有用性がわからないみたいだな。
(化粧品は、化学物質の製剤・化合・安全技術の集大成です。いかに美しくメイク出来る化粧品を開発できるか、日々研究を重ねています)
納得いかないぞ。ブログでも書くか~。


というわけで、これらは、民間の研究開発で、国は関係ないんじゃないの?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、そもそもの基礎研究は国の研究が発端だったり、産学連携で、共同開発もしたりしています。これは、単純にいえば、それぞれの研究費が半分づつで良くなることになり、研究成果の相乗効果が生まれます。

研究者というのは、沢山の実験の中から、これだ!という発見をすることに命をかけており、中にはそれが、人類の歴史を変えるほどの発明に繋がったり、我々の暮らしに役立ったりするわけです。
発見は時間をかけていろいろとさらに実験、開発・応用されながら、我々の暮らしに役立つ形になってきているわけですが、研究者はそういうことは当たり前の世界で、こんな風に役立っているのだぞ、と自慢する世界ではないのです。
私達の暮らしにいつのまにか溶け込んで、意識せずに自然とみんなが幸せになる科学技術、それを陰から見守ることが研究者冥利につきる瞬間なのだと。