国の財政悪化により、とうとう国立大学の授業料が値上げされるかもしれないと、風の噂で聞きました。国立大学の授業料は、平成30年度は下記のサイトのとおり、ほぼ全国統一で、年額535,800円ですが、高等学校の授業料の無償化が実施されようというこのタイミングに逆行するという、この時期になんとも不可思議な噂です。

2018年度 国公立大学 受験料・初年度学費一覧
http://www.keinet.ne.jp/dnj/18/gakuhi/k_gakuhi.pdf


とはいえ、こんな噂が立ったのは、今回が初めてではありません。

国立大学の授業料、15年後は40万円増の93万円に値上がりか…文科省試算
https://resemom.jp/article/2015/12/04/28332.html

のように、2015年の時に文科省が試算した結果、当時の15年度(2030年度)には、授業料が93万円になるという結果が出ていることからも、これは単なる噂で済まされないかもしれないという危惧があります。
しかし、この時に、かなり騒ぎが大きくなったことから、2016年の3月4日に文部科学省高等教育局からまたこれをきっぱり否定するする公文書が出ています。

国立大学の授業料について 
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/__icsFiles/afieldfile/2016/03/04/1367834_01_1.pdf


一部抜粋しますと、

○ 国立大学の授業料に関して、「15年間で約40万円の増、約93万円の授業料になる」
といった大幅な値上げを行うのではないかとのお問合せを頂いております。
○ 文部科学省としては、今後、毎年国立大学の授業料を引き上げて40万円も値上げを行うことは考えておりません。
(中略)
「授業料収入で自己収入の大幅な増加を賄うということは、金額の大幅な引上げにつながりかねず、現下の経済状況や厳しい家計状況では困難である」ということをお答えしているところであり、以上については、平成28年2月10日(水)の衆議院・予算委員会等において、馳浩文部科学大臣からも説明を行っているところです。
○ 意欲と能力のある学生等が経済的理由で進学等を断念することのないよう、安心して学ぶことのできる環境を整備するため、引き続き、授業料減免や無利子奨学金の充実、卒業後の所得に応じて返還月額が変わる「所得連動返還型奨学金制度」の導入等により、学生の教育費負担の軽減に努めてまいります。

と、締めくくってます。というわけで、やはり国立大学の使命というか、経済的に困難な学生にも安心して学業に専念できる環境を文部科学省はちゃんと考えているということではないでしょうか。どう考えても、大阪や北海道の大地震や台風などの自然災害で日本が窮地に追い込まれているこの段階で、授業料が上がるなんてことは無いと思いますが、下記の年次統計を見ていると、1975年頃からオイルショックやバブル崩壊、リーマンショックなんて全く関係無いかのように2004年頃まで一直線に上がっています。(リーマンショックは、2008年でした)

年次統計(国立大学授業料)
https://nenji-toukei.com/n/kiji/10037/%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E6%8E%88%E6%A5%AD%E6%96%99


つまり、国立大学が法人化してからほとんど上がっていないとも言えます。これは自助努力ということもありますが、実は、法人化後の国からの援助(運営費交付金)は年々減っており、自己収入を増やさないと経営が成り立たないという状況も見え隠れしています。
特に最近の、森友学園と加計学園問題に加えて、文科省前局長の東京医科大学裏口入学問題で、財務省が激怒、文科省への予算が大幅に減らされた(いや、先日の報道を見るとそうでもないような)ために、国立大学の財務部門が火の車になったいるのでは? という事情も見えてきます。


というわけで、国立大学の授業料値上げも現実味が高くなってきました。もし値上されるとしたら、どの位値上されるのか? いや、このタイミングで「値下げします」なんていう国立大学が現れるのか?
大学が法人化されて久しいが、いよいよ授業料の額の競争が始まって、一時期の牛丼の値付け競争のようになるのでは、という気もしないでもないが、実質所得が減っている昨今、教育費って家計を圧迫する割合が大きいから、国立大学は私立大学と違うってところを見せて欲しいですね。