複数国立大の経営可能に、文科省が案を提示(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22694980V21C17A0CR8000/ 

とうとうというか、ついにというか、文部科学省がなんで大学経営に口を出すんだよ、とお思いの方もいるかもしれませんが、国立大学法人は、法人格を持ったとはいっても、国立大学法人法の下で、経営自体はかなり厳しく制限されていて、少子化に対する対策は、全然取れない状況でした。

そんな中、上のようなニュースが流れました。一部引用します。

私立の学校法人は複数の大学や高校を経営できるが、国立大学法人法によって国立は1つの大学に限られている。文科省は同法を改正し、複数の大学を経営できるようにすることを検討。実現すれば、同じグループの大学間で強い分野を生かした学部再編や、教員や研究施設の共有などの柔軟な経営や教育環境の改善が可能になる。法人が統合しても大学自体は存続する。

 つまり、私立大学の学校法人では当たり前のことを、ついに国立大学法人にも同様な複数大学の経営が認められたということ。これはかなり大きいと思うが、そもそも今まで別法人だった大学と経営統合して一法人になるのは、そうたやすいことではないと思う。
ただ、経営悪化が心配されている地方の国立大学にとってみれば、今まで難しかった大学の統合はさておき、法人だけが1つにはなるが、大学はそのまま存続するのであれば、抵抗勢力はおとなしいと見ているらしい。しかも、同じ法人の大学間なら、授業なども相互に受けれるといったメリットもあると強調するが、事務側からみれば、かなり大変な作業が生じるということもある。それに大学間で偏差値や難易度が違ったりすると、その大学間の間の不公平さも生まれて、軋轢が生じるのではないかという懸念もある。とはいえ、次の記事も引用してみると、そんなことも言ってられないかもしれないと思ってしまう。

 18歳人口が2030年代に現在より2割減るなど、今後は地方を中心に大学の経営悪化が懸念されている。中教審部会では、大学同士や自治体、企業を含めた連携策を議論しており、経営が悪化した私立大への国の指導を強化する仕組み作りも検討事項にあがった。 

 
 やはり、少子化は、大学だけでなく、自治体や企業の利益にも影響を及ぼすので、そこはうまく連携を取って、官民一体どころか、県境も越えて、連携を取ることが必要になるかもしれません。つまり、つぶれそうな自治体も近隣と協力して、行政区分の見直しにも発展するかもしれません。
確かに、日本の大学数は多すぎるような気もします。都内にある東京工業大学、東京農工大学、電気通信大学は、一般世間から見れば、何がどう違うのかきっとわからないでしょうし、東京学芸大学、東京芸術大学も名前が紛らわしいから一緒でいいじゃん、という人もいるでしょう。また、単科ではないけど単科っぽい東京海洋大学や東京外国語大学も経営統合すればという見方もあるでしょう。

そんなわけで、都内であっても今後はうかうかできないかもしれません。特に北関東の群馬大学、宇都宮大学、茨城大学あたりは、一番経営統合が狙われているような気がしてなりません。

なお、国立大学法人化前の2002年頃に、群馬大学と埼玉大学の合併話が持ち上がったことがありますが、その当時は、

「埼玉大学がなんでよりによって北関東の群馬大学と一緒にならなきゃなんねんだよ!」

ということで、一方的にふられてしまった事件がありました。当時はあまり大きく報道されなかったので、ご存じ無い方も多いと思いますが、合併話というのは昔からもあって、東京工業大学、一橋大学、東京外国語大学、東京医科歯科大学で4大学連合というのがあって、これは合併ではないのですが、連携を強固にして、合併話には負けじと連合を組んだようです。本当のところは、東京藝術大学にも話を持ち掛けていて、5大学連合になるはずだったのですが、相互単位や交流のことを考えると、やはり東京藝術大学は、己の道を独自に行く路線は譲らす、4大学連合に落ち着いたとのことです。

はてさて、話は脱線しましたが、ようやく経営のやり方も、国立大学法人によって、かなりやり方に独自色が出て来たところに、ごの経営統合話、本当にうまくいくのでしょうか? もし、合併となると、その後の事務量の増大を考えると、頭が痛くなりそうな今日このごろです。