先日から、このブログで雇止めの記事を掲載していましたが、最近の動きがあったので、お知らせします。
団体交渉の結果、やっと大学側が雇い止めの撤回に本学の執行部が本腰をいれたのか、唐突に無期支援員(仮称)制度についての説明会が開催されたので、行ってきました。まずは、当日配られた紙切れ一枚がこれ。
無期支援員(仮称)制度について通知文 

え? たったこれだけ? っていうまさかの紙切れ1枚。こんな大事な説明会、みんな聞きたいであろう説明会なのだが、これだけの資料だった。それにも拘わらず、今までの大学の説明会で、これだけの人が出席したことがあっただろうかという、物凄い大盛況の会場の模様で、空いた席も無い状況だった。仕方ないので、記憶を頼りに、概要を記しておきます。

1.本学を取り巻く状況について
 運営費交付金が年々減っていく中で、文科省が求めている大学へのニーズが年々厳しくなっており、
 国際化や情報化について、多様化・高度化する業務に効率化が求められるので、事務職員のあり方や事務支援体制の見直しが必要になっているとのこと。

2.無期支援員(仮称)制度を設けることとした趣旨
  教育研究・ガバナンス改革の中で、教育研究支援の基盤を強化することが必要で、そのためには、経験豊富な支援員を学内登用するための新たな雇用制度を導入する必要がある。

3.無期支援制度の概要
 この説明は、上の配付資料のとおりで、ちょうど雇い止めの時期に合わせて、平成30年4月から制度がスタートするのだという。ただし、今の身分で無期転換するのではなくて、来年度夏頃から予定しているあたらな制度の公募に応募して、試験に合格して、採用されたもののみがなれるという制度ということだ。しかも、応募資格が有期雇用職員で4年以上の経験も無いとダメなんだそうだ。しかも業務内容が事務区や部局共通業務支援となっていて、いわゆる研究室秘書など、教授にとって、電話対応、来客対応、物品調達、出張管理など雑多な業務で忙しいが、そばにいて欲しい秘書さんには、とても場違いな制度になっているようだ。しかも人事異動も行われるらしいから、どこでも同じようないわゆる経理を集中的にこなすような業務を想定しているのだろう。
というわけで、当然、研究室秘書さんからは、怒涛のごとく質問が飛び交い、中には泣き出してしまう人もいた位で、とても可哀想だった。

4.これまでの雇用制度との違いについて
無期支援員(仮称)制度・これまでの雇用制度との違いについて
この表は、パワーポイントを使用しての説明をカメラ撮りした資料で、いままでの違いをまとめたものだ。左はいわゆる常勤職員のことで、難関といわれる国立大学法人職員採用試験を経て登用される正規ルートの他に、いわゆる常勤の職員よりも有能な非常勤職員についても、学内公募を行って、2~3名程度を常勤化している例はある。ただし、わずか2~3名なのでこれは、特殊な例となる。
また、右の表はこれまでの有期雇用職員のことだ。最大延長しても5年間で雇止めになることが問題となっている。そもそも、改正労働契約法の趣旨が、雇用期間が5年を超えて働き続ける場合、無期転換しなくてはならないという、雇用の安定を図る制度のはずが、むしろ雇い止めを助長する制度になってしまったという皮肉な結果になっているのが問題なのだ。
そして、真ん中の黄色い枠の中が、今回計画している、無期支援員(仮称)制度だ。違いは、4年以上の経験が必要で異動もあり、原則、事務の集約した部屋で業務を行うという、みんなが全然安心できない内容となっている。

結局、この説明会後、本学に見切りをつけて、早くも他の大学への就職活動が活発に行われ始めている。優秀な非常勤職員さんの流出は、深刻な問題だ。大学の執行部は、教授の教育研究を陰支える秘書さんたちがいなくなって、大学全体のアクティビティが低下するというこの問題に早く気付いて、対策を取らないと、大変なことになるという認識を持って欲しいものだ。