昨日速報をお知らせした、国立大学法人運営費交付金の事業仕分けについて、公式HPに評価コメントがアップされました。文字数が多いので、ここでは読みやすいように要約版にしてみました。全文読みたい人は、リンク先を見てください。
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov25kekka/3-51.pdf

なお、ピンク色の部分は、私の勝手な独り言です。国立大学職員の総意ではありませんので、念のため。

(国立大学運営費交付金(特別教育研究経費を除く))
●独立行政法人化そのものの見直しが必要。
 →第2の郵政となるのか?
●各大学の積立金の国庫支出を。天下り、現役出向は完全廃止=交付金削減
 →目的にそって積み立てたのに、これでは装置が買えない。なお、天下りや出向が無くなるのは歓迎。
●日本の高等教育の基盤として制度改革に努力し、足腰の強い、国際的にも評価されるものになれ。
 →なのに、科学技術予算を削ったら国際的に競争出来無くなります。
●官僚出身者や出向者には経営は無理。
 →継続性を考えてないと思われ、これは同意。
●独立行政法人化3年以内見直し。文部科学省からの出向を禁止。
 →またこの意見なのか? 同じ議論の繰り返しのようです。
●グランドデザインが弱いので競争的資金への関心、評価の甘さにつながる。
 →そういう関係にあるとは思えないのですが
●理事長と学長を完全に分離、理事長は1年以内に民間経営者を充てる。国立大学法人の運営費交付金を一律に削減することは限界。運営費交付金に傾斜を付けた配分を行うべき。
 →いい加減、運営交付金は削減終わりにして、V字回復で増額をお願いしたい。
●法科大学院などは無駄。1割程度削減。
 →特に私立大学の法科大学院で明らかにいらないのがあるかもしれない。
●全ての大学についてゼロベースで見直しするべき。
 →やる意味がわかりません。
●法人化の成果について検証し、1年以内に大学のガバナンスのあり方を見直し。
 →具体的にどうやるのかわからないけど、これから膨大な作業が来そうです。
●国立大学を法人化して本当に良かったのかどうか検証が必要。
 →またこの意見ですか。まさか民営化への布石なのか?
●算定方法の透明化。真に教育・研究のあり方を問う。
 →コストと研究成果の対価を考えたら、基礎研究は成り立たなくなる。
●経営マネージメントのできる人材の登用。地方国立大学、公立大学、私立大学含め、統合を図る。
 →これぞ民主党が描いた国立大学の私立大学化なのか。
●職員意識改革を徹底する。
 →危機意識を持って、有用な国立大学職員に来てもらいたく、ブログ内で講座を始めました。
●人文系教育が機能しない。
 →まあ、人文系はそういう学問ですから。

(国立大学運営費交付金のうち特別教育研究経費(留学生受入促進等経費、厚生補導特別経費、プロジェクト経費))
●一研究所の研究成果が国民にどのように還元されてきたかが不透明。         
 →研究成果というのは、国民の日常生活の中で、知らず知らずのうちに意識することなく役だっているのです。これは、後日特集します。
●科研費・競争的資金との比較をした時の違いが分からない。
 →それでよく仕分け人が勤まるものだ。
●運営費交付金として反映すべき性格のもの。
●運営交付金化すべき。
●競争的に配分される資金については、国立・公立・私立を問わず、各大学の競争により、インセンティブとすべき。
 →あれ?そうじゃなかったの?
●交付金に入れ込んで議論。
●政策と現場の照合、縮減すべき。
●BIG PROJECTとの説明がされたが、本当に見直すべきプロジェクトはないのか。
 →それはあると思います
●スバルなど特定の交付金以外は、結果的にはほぼ全体に行き渡るので基盤的教育研究経費に回すべき。
●大学の先端的取り組み部分と重なっている部分は統合すべき。
●ほとんどがビック・プロジェクトであるが、一部は3―52 の事業とも重なる。
●運営費交付金の見直しに連動。
●たくさん問題はありますが、ここでこの予算を切ることで国立大学全体の活性を落とすのでなく、システム作りを要求していくことで将来、国の資金を有効に使って。
 →予算切らずにお願いします。
●国立大学法人化が本当に良かったのかどうかの検証に合わせて見直しが必要。現状では要求通り。
 →要求より多くなっても構いません。

WGの評価結果
国立大学運営費交付金(特別教育研究経費を除く)
国立大学のあり方を含めて見直しを行う
(見直しを行う 15名(複数回答))
(経営改善努力の継続(民間的経営手法の徹底)を反映 8 名、 資金の効率化・重点化の観点から人件費・物件費の見直し 7 名、社会のニーズ等を踏まえた組織・教職員数の配置の見直し 6 名、ガバナンスのあり方の見直し(民間人の登用等) 5 名、独立法人化そのものの見直し 2 名、予算要求の1割削減 2 名、法人化の是非の検証1 名、算定方法の透明化 1 名、大学間格差の整理 1 名、配分基準の明確化 1 名、現役出向の廃止 1 名

国立大学運営費交付金のうち特別教育研究経費
(留学生受入促進等経費、厚生補導特別経費、プロジェクト経費)
予算要求の縮減
(廃止 6名 予算要求の縮減 6名(半額 1名、1/3縮減 1名、その他4 名)、予算要求通り 2名

とりまとめコメント
国立大学運営費交付金(特別教育研究経費を除く)については、複数回答で15名全員が見直しを求めるという結果となった。大学の教育・研究については、しっかりやっていただきたいということで、皆さん異論はない。そのためのお金はしっかり整備すべき。
ただ現在の国立大学のあり方については、そもそも独法化したのがよかったかどうかということに始まって、運営費交付金の使い方、特に教育研究以外の分野における民間的手法を投入した削減の努力、あるいは、そもそも交付金の配分のあり方、こういったことを中心として、広範かつ抜本的に、場合によっては大きく見直すということも含めてその中で交付金のあり方について見直していただきたい。
特別教育研究経費については、予算要求通りが2名、廃止が6 名、予算要求の縮減行政刷新会議「事業仕分け」が6 名となっており、結果にばらつきがあったものの、グループとしては、予算要求の縮減ということでお願いしたい。

今までの流れから、もっと厳しい削減となるかと思われたが、やはり、国立大学法人化で、6年間、厳しい合理化と努力により、運営交付金がぎりぎりとなっていたことは、理解してもらえたようだ。ただ、この先、国立大学法人としてでなく、国営化や民営化、私立大学化などいろいろな方策を模索しているようにも見える。この先まだまだ気が抜けない。